キーエンスのビジネスモデル分類
ポーターの3つの基本戦略
・差別化戦略
アンゾフの成長マトリックス
・製品開発戦略
デルタモデル
・カスタマー・ソリューション
キーエンスのビジネスモデル分析
@差別化戦略
あまり聞きなれないかもしれないですが、キーエンスはセンサや測定器などの制御機器を扱うBtoBメーカーです。
通常、このような汎用機器を扱うBtoBメーカーは薄利多売が基本戦略となりますが、このキーエンスは営業利益率が40%〜50%超という驚異の数字を誇っています。
その競争力の根源は、世界初、業界初の新製品を次々を生み出し、競合他社と差別化を図ることにあると言えます。
キーエンスは値引きをしない会社で有名です。当然、新製品を発表すると競合他社が模倣してきますが、競争が増し商品価格が下がってくるとキーエンスは製品販売を中止します。
そして、また新しい製品を発売することで、付加価値の高い製品を提供し続けているのです。
後述する製品開発力もさることながら、高収益の源泉は他社との競争を避け常に差別化する戦略にあると言えます。
Aカスタマー・ソリューション、製品開発戦略
キーエンスがなぜ魅力的な新製品を次々生み出すことができるのか疑問に思う方も多いかと思います。
その製品開発力を支えているのが「コンサルティング営業」だと言われています。
競合他社では、大口顧客の御用聞き営業となり、製品の需要を探っていきます。製品のニーズがあると、それに合わせた特注品を作ることで差別化を図ります。
もちろん、その顧客独自の課題であるため、他の顧客に水平展開できません。
一方でキーエンスの場合は、中小企業も含め製造現場での共通のニーズを探っていきます。「現場改善」を実現するための製品開発を行い、新製品を持って顧客に売り込みをかけます。
顧客でさえ気づいていない課題を解決するカスタマー・ソリューションを軸に、製品開発を行い世界初、業界初の付加価値の高い新製品を売り込むという戦略です。
組織として、ここまで企業戦略の沿って上手く回っているのは、希少な事例だ3と言えます。
総評
知る人ぞ知る超優良企業がキーエンスです。
その卓逸した収益力を支えるポイントは以下の3点です。
・顧客ニーズの調査と新製品の売り込みに絞ったコンサル営業
・コンサルティング営業で蓄積した顧客ニーズに沿った商品開発
・他社との競争を避ける差別化戦略
営業部門と開発部門が、しっかりかみ合っているからこそ実現している形と言えます。
実際に、定期的に製品の勉強会をやったり、成功事例の共有化を徹底したりと、組織体制を維持するために様々な努力が為されている点も補足しておきます。