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ワールドコムの経営戦略失敗の理由

ワールドコムは、1983年に創業した後、当時では画期的だったM&Aにより規模を急拡大させた通信会社です。

 

倒産直前には、従業員数6万人、売上300億ドルにもなる規模となっていました。

 

一方で、倒産後には、創業者でCEOだったエバーズ氏による会社の私物化が明るみになることになり、コーポレートガバナンスが重要視されるきっかけにもなりました。

 

今回は、経営戦略上何が問題だったのかを考察していきます。

 

ワールドコムの失敗した理由
・無理な経営目標に基づいた急拡大
・株価に依存した経営

ワールドコムの経営戦略分析

@無理な経営目標に基づいた急拡大
上述しましたが、83年に創業して20年足らずで、売上300億ドルまで成長するというのは異常な成長性と言えます。

 

当然、それだけに超ハイリスクな経営をしていたことは言うまでもありません。

 

実際にワールドコムの経営目標にはROE42%とあります。

 

ROEとは自己資本利益率と呼ばれるもので、自己資本に対してどれだけ利益を出せたか、つまり資金効率を見る経営指標です。
ROEが高ければ資金効率が高い経営と評価されますが、一方で資金に余裕がないのでリスクの高い経営であるとも言えます。

 

通常の会社であれば10%台もあれば非常に優秀であると考えられており、そこから考えるとワールドコムのROE42%という数字は非常に高水準でした。

 

当時は、ITバブルで買収企業の価値が右肩上がりであることで成り立っていた経営戦略ですが、ひとたびバブルが崩壊すれば不良債権の山を築いてしまうことになります。

 

実際に、倒産直前はM&Aのシナジーを出しきれておらず業績が伸びず、かつITバブル崩壊も重なり、経営目標をコミットしているように不正会計でごまかしていたのが実情です。

 

A株価に依存した経営
ワールドコムは、典型的な株価に依存する経営をしていた企業の一つです。

 

役員や監査法人に対してはストックオプションで報酬を支払い、経営者自身が自社株で借り入れを行っていました。

 

このような構造だったため、株価を吊り上げて自社株の価値を担保することは通常の企業よりも重要度が高くなり、上述した無理な経営目標や不正会計へとつながっていきます。

 

株主重視で株価を重要視していたわけではないという点が大切なポイントです。

 

私欲が絡んだ結果悪いことをしてしまったわけで、おそらく純粋な株主重視であれば不正会計までは手を染めていなかったのではないでしょうか。

 

本来、ストックオプションは経営陣や社員も自社株を持つことで、頑張って業績拡大すれば、その分恩恵を受けられるというみんながWinwinの制度だと考えられてきました。

 

しかし、実際には無責任な経営陣に対するストックオプションは、ただのボーナスになってしまい無意味もしくはマイナスになっているのが、現在と言えます。

 

株主に対する責任として株価重視は大切ですが、そこに経営陣の私欲が絡むとモラル無き経営となる良い例かもしれません。

ワールドコムの経営戦略まとめ

ワールドコムの倒産の原因は、世間で言われる通り不正会計です。

 

しかし、不正会計に至るまでに、経営戦略上のミスやコーポレートガバナンスの欠如などがありました。

 

この事件を機に、アメリカでは会計制度が見直され、株式市場のルールも厳格化されています。

 

ちなみに、わが国日本では、その当時のアメリカにならってJ-SOX法と呼ばれる形だけの会計制度見直しがありました。

 

日本では残念ながら、いまだにコーポレートガバナンスが欠如しており、無能な経営者にも関わらず長期間居座って業績を悪化される企業が多数います。

 

良い企業ばかりに目を向けるのではなく、ダメな企業、ダメな経営者に目を向けるのも面白い分析ができるかもしれません。

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